「プロジェクト学習奮戦記」1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 |
■「プロジェクト学習奮戦記」(17) 2004.10執筆 今回は、前回お知らせした「教育実習プロジェクト〜ポートフォリオ活用で成長を自覚!」の詳細を紹介します。2週間の教育実習で、実習生が成長するという大きな成果がありました。目的意識を持ち、明確なゴールに向かい、ポートフォリオを活用していくという新しい教育実習のあり方を提案します! ■「教育実習成長報告書」〜実習生のコメント <成長したことベスト3> 1.子どもの前では明るくしていられること 2.授業において、落ち着いた雰囲気を出せるようになったこと 3.以前よりも子どもたちに対して毅然とした態度で接することができるようになったこと <ここで得たことをどう現実に活かしますか?> 3つもの実際に現場にたったときに必要とされる教師の技量であり、さらにこのことに磨きをかけていきたい。 1(明るくすること)であれば学校場面だけでなく家庭や友人といるとき、また初めて会う人の前でも明るさをなくさないようにしていきたい。 2(落ち着いた雰囲気)においては、単に落ち着いているだけでなく、表情を豊かにして子どもを認めることができるようにしていきたい。 3(毅然とした態度)においては、実際に現場にたったときに、中途半端な指導にならないためにも常に子どもの前では毅然としていられるようにしていきたい。 <担当者からのコメント> 2週間よく頑張りましたね。自分の研修のゴールを意識して、自分自身を高めようと毎日努力できましたね。3年2組の子どもたちの心の中にもやさしい教師としての姿を残してもらいました。ありがとうございました。教育に対して誠実で、子どもたちに対してやさしいところは本当に素晴らしいです。2週間の教育実習の成果は十分にありまいた。合格です!向上心や誠実な人間性は教師として最も大切な資質です。その優れた能力を生かし、自信を持って前向きに夢に向かって進んでいってください。 ■教育実習のもたらしたもの1 学級での最後のお別れ会は、予想以上に盛り上がりました。すべてが小学3年生の手によるもので、私はほとんど指導していませんでした。係から準備の様子を聞き、その必要がないと考えていました。よくぞここまでというぐらい、飾り付けや進行を子どもたちの手で進めていきました。そして、感激した実習生さんの目には、涙が…。それを見た子どもたちもみんな涙・涙・涙のお別れ会となりました。子どもたちにとってやさしく、一生懸命取り組んでくれた実習生さんは、子どもたちの心をつかんでいたのでした。 ■教育実習のもたらしたもの2 就職難の時代。島根の教員採用は難関で20倍以上の競争率だとか。実は、実習生さんは、教育実習を始める前は教職に進むかどうか決めかねていたようでした。しかし、最後には「教師になります!」と子どもたちの前で言い、全職員の前でも言い切りました。実習生さん本人に、教師としての道を行く!という決心をさせたのは、まぎれもなくこの教育実習だったのです。 ■教育実習プロジェクトの秘訣 ★具体的なテーマやゴールの設定・意識化 今回具体的なテーマやゴールを実習生本人と相談しながら取り組みました。自分で決めためあてなので、毎日意識しながら取り組むことができました。 ※教育実習の目標 【ゴール】 ┌────────────────────────────────┐ │ ○課題を「つかむ」「振り返る」場面の指導のコツを10こ見つける │ │ │ │ ○子どもの考えを引き出す発問の大切なポイントを5つつかむ! │ └────────────────────────────────┘ 【ビジョン】 ┌───────────────────────────────┐ │ ・主体的に子どもが考えることができる授業をつくりたい! │ │ 〜めざす教師像 │ └───────────────────────────────┘ ★研修シート〜価値ある学びを意識化 講話や授業参観では、感想だけでなく、「自分が何を学んだか」を常にシートに記述し、講話や授業者の担当の先生からそれについての評価を記入してもらいました。実習生さんは、このシートの記入に悩んだようでしたが、ただ漫然と受け身で行う研修ではなく、自分の目標を意識し、学ぼうとする視点を持つことでその研修は充実したものになっていくと考えてました。 「何のためにこの研修をするのか」を意識し「成果として何を生み出したか」を記していくことで一つ一つの研修を確かなものにし、その記録をポートフォリオとしてきちんと残すことで価値あるものにするというねらいがあったのです。 ★他者評価の蓄積〜たくさんの評価で成長! 教育実習担当者からの評価だけでなく、他の先生たちからの評価が大切だと考えました。多くの人からの評価で成長してほしい!そこで、研修シートに担当者のコメントを記述してもらい、シートの直接の受け渡しを通して、励ましをもらうなど工夫しました。そして、研究授業等でも参観者からのコメントの紙をもらい、多くの人からの評価を集めるようにしました。 そして、更に子どもたちにも評価の手紙を書かせておき、最後に手渡す場を作りました。ポートフォリオの中にこうしたうれしい評価がたくさん貯まっていきました。 ★成果発表会〜最後にアウトプット! 教育実習最終日の放課後に「教育実習成果発表会」を全教職員の前で行いました。自分が成長したことや得たことを模造紙1枚にまとめ、5分間のプレゼンを行い、参加者からの感想をもらいました。教育実習で、知識や経験、いろいろな情報をずっと“インプット”してきましたが、最後は、いよいよ“アウトプット”する番です。自分自身が教育実習の成果を発表する場です。実習生さんは、やや緊張していたようでしたが、最後に「教育実習成長報告書」を校長先生から受け取る姿は、とてもうれしそうな子どもの笑顔になっていました。教育実習の中のいろいろなシーンをデジカメで撮しておき、スライドショーで振り返る「セレブレートタイム」も行い、みんなで成長をお祝いする場になりました。 この自分の言葉で大勢の前で発表する機会が成長にとって価値あるものだと思います。これからどう生かすかという宣言をすることが実際の具体的な行動に結びつくのです。研修を実際に生かすための成果発表会なのです。 ■教育実習ポートフォリオの提案 今回の教育実習が成功したのは、プロジェクトベースで取り組んだことと教育実習ポートフォリオだと思っています。自分の得た体験や成果が蓄積されていくポートフォリオは、自信を生み出し、未来へ進んでいくエネルギーを内に蓄えくれるものなのだと思いました。 大学の指定の記録は、評価のための報告書。そうじゃなくて、自分自身の成長のプロセスがつまっているのが教育実習ポートフォリオなのです。苦労して作成した研究授業の指導案だけでなく、何回も書き直した赤字だらけの指導案や発問や板書のメモが大切なんです。努力した具体的な姿が見えるものが大切なのです。 今回の教育実習プロジェクトは、未来教育デザイナーの鈴木敏恵さんが現在提唱なさっている「研修医ポートフォリオ」臨床研修の取り組みを教育実習に取り入れて若槻が実践したものです。 http://www.igaku-portfolio.net/ 教育実習においてもポートフォリオやプロジェクトの手法が十分に役立つことを強く感じました。 そして、それは、「教師ポートフォリオ」にもつながる!間違いない! |
「プロジェクト学習奮戦記」1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 |