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    ■「プロジェクト学習奮戦記」(13)   2004.5執筆


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|“学力向上”へ切り札:「教師の研修」    |
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前号で、「学力向上は教師の指導力向上がカギ」と述べましたが、今回は、実際の教育現場で“学力向上”をどう進めていったらいいのか考えてみます。私の提案を聞いてください。
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★教師の授業力アップにつながる研修システムを

子どもたちに学力をつけたい!と願って、これまで日本全国で“校内研究”や“校内研修”が盛んに行われてきた。授業研究会では、授業で教師が子どもたちをどう指導したかについて語られてきた。研究会での“研究発表”でも教師が子どもたちをどう指導したかが中心。自分たちで考えた(と言う)指導法や指導の工夫に全校で取り組んだら、子どもたちにこんな成果(誇張傾向あり?)がありました!というものがほとんど。

「先生たちは、一生懸命。全校体制で取り組みました。」の校長先生の声の陰で、「A校の研究で熱心だったのは研究主任と一部の先生だけ。他の先生は…。」というパターンもよくあるらしい。

◆時代に付いていけない“研究や研修のシステム”

「最初はやる気のない先生もいたけど、その気にさせてみんなで前向きに研究実践に取り組んだ。」「教師の意欲を引き出す校内研修はこうだ!」というような研究・実践発表はあまり聞かない。学習者である子どもたちの意欲を引き出し、主体的な学習をめざす「校内研究」は多いのに、先生たちの意欲を引き出し、指導者側の指導力を高めるといった「校内研究」は少ない。
どちらかと言えば、それは研究主任のリーダーシップや管理職のマネージメントの部分であり、「校内研究」として表に出てくるものではなかったようだ。

今や時代は変革の時代。企業では、従来のやり方だけでなく、変化に対応できる新しい手法を取り入れられるように、マネージメントや人材育成に力を入れている。求められるのは、上司から言われたことだけをする人間ではなく、自ら考え、行動し、自分で結果の出せる自立的な人間。だから、「ナレッジマネージメント」や社員のやる気を引き出す「コーチング」が注目されている。
 ・「ナレッジマネージメント」とは…
 社員が業務で得た個別の知識やノウハウを企業全体で一元管理・共有し, 問題解決や新商品開発に役立てようとする経営手法のこと。
 ・「コーチング」とは…
 目標を達成するために必要となる能力や行動をコミュニケーションによっ て引き出すビジネスマン向けの能力開発法。専門のコーチが質問を重ねな がら相手に自分自身で何を実現したいのかを明確にイメージさせ,潜在能 力を引き出して目標を達成するための行動を促す。
                (三省堂「デイリー 新語辞典」より)

時代の急激な変化に対応できるように、世の中の多くの部分でそのシステムが変わろうとしている。世の中が変わり、子どもの実態が変わり、求められる教育が変わってきているのに、それに携わる教師の方が変化に付いていけない。教師側のシステムが時代に合わなくなってきている。

「学び続ける教師」を育てていくことが“学力向上”の切り札なのだ。

◆“やらされる”研修ではなく“やりたくなる”研修へ

では、教師自身が“やりたくなる”研修(研究)ってなんだろう。それは、教師が本来持ている“成長欲”“向上心”をうまく引き出すことがポイントではないだろうか。(他の先生より授業がうまいと言われたい)という“競争心”を煽るのではなく、(他の先生から自分が認められ、他から学ぼうとする姿勢を持ち、一緒に研究していくのが楽しい)という“協同(協働)や共生の心”を大切にしていきたい。「コーチング」と「ポートフォリオ評価とプロジェクト学習」を研修に取り入れることで、教師の主体的な研修が実現する!

具体的には、次のような面が必要ではないだろうか。思いつくまま列記してみる。

・がんばっている人や実践が評価される場が必要
 「授業の公開」「ミニ研修会」

・お互いの教師としての成長を認め合える場や雰囲気が大切
 「教師ポートフォリオ」「成果と共有」
 
・校内研究としての共通部分とそれぞれの教師のオリジナルの部分
 「研究と研修のシステム」「個人テーマ」「成果と共有」 

この教師の研修システムは、まだまだ確立されていない。

そして、残念ながら、今の日本の学校には、組織や人を育てる経営能力「マネージメント」のあるリーダー(校長)がまだ少ない。

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◆新しい「臨床研修」の提案

今年度から医師の臨床研修が必須となりました。このMMでもみなさんよくご存知の鈴木敏恵さんは、今、人間性あふれる医師を育てるために、医学教育へポートフォリオやプロジェクト学習の手法を取り入れ、その具体的な臨床研修の方法を提案していらっしゃいます。
http://www.igaku-portfolio.net/

この「未来教育医学プロジェクト」に私も参加させてもらっています。よい医師とは「意思を持ち学び続ける」医師です。それは教師にも求められる資質なのだと最近つくづく思います。

◆おまけ(PR)
私の勤務する加茂小学校で、学力向上フロンティア校としての最終の研究発表会が、今年10月27日(水)に開かれます。
http://www.kamo-e.ed-unnan.jp/(※リンク切れです。)

私は、3年生の算数の授業を公開する予定です。私の「研修」の成果が試される。(?)

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|  ○ (*^◇^)/°・:*【祝】*:・°\(^◇^*) ●         |
|○*○ 梶原先生 中高MM 1000号 ●*●       |
| ○○  おめでとうございます!       ●●        |
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