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    ■「プロジェクト学習奮戦記」(2)   2003.5執筆


◆テーマとゴールは難産!

 多くの学校では、「総合」の2年目を迎え、既に題材やテーマが決まって学習が始まっていることでしょうね。(高校は今年から実施ですね。)ところで、その題材やテーマはどのように決まったんですか?

 私の学校(小学校)では、実は、先日やっと今年度の「総合」の具体的な題材やテーマが決まりました。「総合」の研究実践は数年前から始めており、一応学校のプラン(学校カリキュラム)があります。各学年で、どんな力を育てるかという目標ができていて、その目標を達成するには、地域の中のこんな題材がいいですよという学年の「おすすめ単元」というのができています。その中から今年度の単元を選べばいいのですが、今年から、総合は本格的に『プロジェクト学習でいく!』と総合の推進役の私が旗を振り始めたので、どの学年もすぐには題材やテーマが決まりませんでした。プロジェクト学習に適した題材やテーマは何だろう?学年の実態や担任の教師の思いもあります。おまけに、今年は10月に県の教育研究会という研究会が本校であり、「総合」を4,5年生が授業公開するといった事情あって、具体的な題材やテーマがなかなか決まりませんでした。
 じゃあ、今まで(4,5月の)「総合」はどうしていたの?と不思議に思われそうですが、この間は、「自分発見ポートフォリオ」の学習を進めてきました。そして、担任の先生とその後の総合の単元について、じっくり相談を進めていたのです。プロジェクト学習の成功の秘けつは、スタートする前の題材やテーマ・ゴールの設定にかかっているのです。子どもたちが本気になって取り組める題材は何か?考える力がつくにはどんな切り口でテーマを設定したらいいか?ゴールはどうすればいいか?何度も話し合っていたのです。

◆テーマとゴールの決め方のこつは?
 テーマやゴールを決めるのに非常に参考になる資料があります。鈴木敏恵氏が提案している資料です。以下のサイトにあります。
http://www.mirai-portfolio.net/
このページの赤い★3つの「テーマとゴールの決め方」です。

ここには題材とテーマの決め方のチェックポイントがそれぞれ8つ示されています。私は、これを題材とゴール設定のためのチェックリストとして担任の先生に活用してもらいました。

◆もう一つのコツは・・・時間をかけること。
 プロジェクト学習が始まると、子どもたちは題材について情報を集めたり、体験をしたりして現状を知る中で、自分のテーマを見つけていくことになります。たくさん体験をしたり、時間をたっぷりかけることが、大切です。子ども自身が題材について意識し、問題意識を持つことがその後の活動にとって非常に重要なのです。これまでの「総合」の実践や過去2年間のプロジェクト学習の実践を通して強く感じています。活動のエネルギーとなる「意欲」が「意志」へと高まっていけるかどうかはこの最初のテーマ設定の時間がポイントなのです。
 今回、学年の題材やテーマ設定に時間がかかったことは、実は、よかったのではないかと思っています。教師がいろいろ悩んだからこそ、決心してその学習に取り組めるのではと考えています。子どもたちと同じように教師にとっても、題材やテーマ・ゴールの設定は、急いではいけないのです。いろいろなことを考えて、もし、この題材・テーマで進めたらどうなるか?といった見通しを考えて、試行錯誤しながら、決めていく。時間をたっぷりかけて考えて、最後には決心することが、がんばってプロジェクト学習を進めていこうとする教師の「意志」につながっていくように思います。

◆どんな題材、テーマ・ゴールなの?
 私が今年度担任の先生と一緒に進めていくのは、5年と4年。難産の末決まったのは次の通り。
◎5年
・題材「福祉(お年寄りさん)」
・テーマ「みんなで広げよう!福祉ボランティアプロジェクト」
・ゴール「福祉ボランティアの紹介本を作る。」
 ★学年研究テーマ“体験で終わらない福祉学習〜日常の実践化をめざす〜”

◎4年
・題材「赤川」(地域の川)
・テーマ「赤川のファンを増やそう!プロジェクト」(仮称)
・ゴール「赤川に親しむためのガイドブックを作る」

いずれの学年とも1学期は、テーマに関わる情報収集や体験をたっぷり行って行く予定です。
 次回は、その様子を紹介します。
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