「プロジェクト学習奮戦記」1         10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 

    ■「プロジェクト学習奮戦記」(3)   2003.6執筆

◆決心したら決意表明を!
 プロジェクト学習で、テーマやゴールはこれでいく!と決めたら、それをはっきりみんなの場で発表することをお勧めします。「○○をします!」とか「がんばります!」と決意表明をすることで、その後の活動意欲が高まります。(みんなの前で言いっちゃった)と思うと途中でやる気が薄れても、またがんばれるのです。お互いの決意表明をぜひそれぞれの活動の前に取り入れてみましょう。
 以前、総合のテーマ・ゴール発表を参観日にしたことがあります。学級・学年の友だち以外の人にも聞いてもらい、お家の人にも、「がんばってね」というコメントをたくさんもらったりするとやる気がでてきます。実際に活動をスタートする前にプランを発表し合う場の設定は、情報の共有としてだけでなく、モチベーションを高めるためにも大切なのです。


◆学年の研究テーマも決意表明
“与えられた研究実践”ではなく、主体的に取り組む“意志ある研究実践”にするために、研究実践そのものをプロジェクト型で取り組んでみよう!と今年度は校内研究(総合部門)をスタートしました。
以下、今年度の研究推進の概要(「総合」部門)です。
◎ねらい                                    
・プロジェクト学習・ポートフォリオ評価を取り入れた「総合」を推進していく。 
・プロジェクト学習の手法を取り入れた家庭科の授業を推進していく。
 
1.テーマやゴールの設定
 ・研究テーマの明確化を図り、ゴールをきちんと設定しておく。
「どんなことに力を入れて取り組み、成果として何を生み出すのか」

2.見通しが持てるような研究実践のフェーズ展開の作成

3.研究の視点をもっと具体的で評価できるものに修正する!

そして、各学年の研究プランを作成してもらい、それを発表してもらいました。

◆5年の総合は、“体験で終わらない福祉学習”
 私が今年度担任の先生たちと一緒に関わっている5年と4年の計画を紹介します。

【5年のプラン】
・題材「福祉(お年寄りさん)」
・テーマ「みんなで広げよう!福祉ボランティアプロジェクト」
・ゴール「福祉ボランティアの紹介本を作る。」
★学年研究テーマ“体験で終わらない福祉学習
             〜日常の実践化をめざす〜”
★研究のゴール:プロジェクト学習で日常の実践化をめざすための 指導のポイントを3つ以上見つける。(自分から進んで福祉ボラ ンティアをする子どもを増やす。)

※学年の研究・実践のウリ
とかく体験で終わってしまいがちな「福祉学習」を、明確なテーマ・ゴールを決めて取り組むプロジェクト学習を取り入れ、日常的に実践化を図っていく。
《ポイント》
・まず、体験をもとに現状認識をしっかり!
  福祉の現状や課題について、体験や調査、携わっている方の話 を聞いたりして、しっかり時間をかけて考える。
・テーマ・ゴールをシャープに!
誰でも始められる具体的な福祉ボランティアの提案を行う。
・自己評価力をつける
福祉の心について自分なりに考え、自覚することで、実践化へ つなげたい。

【4年のプラン】
・題材「赤川」(地域の川)
・テーマ「赤川のファンを増やそう!プロジェクト」
・ゴール「赤川に親しむためのガイドブックを作る」
★4年研究テーマ:プロジェクト学習のテーマ設定に向かう指導の ポイントを探る。
★ゴール: プロジェクト学習のテーマ設定に向けて、方向付けを する手立てを2つ見つける。

◆研究の視点(ポイント)もシャープです
 校内研究でよく使う「研究仮説」。とてつもなく大きなものを掲げて、たった1年間の実践で(時には1つの単元で?)ものすごく大胆、かつ主観的に検証して、“実証”されたときめつけてしまうことってありませんか。担当の部から提案した視点(ポイント)を示して、「具体的にどうするか」を各学年で考えてもらいました。

●視点1:「ねらい」や「価値」を自覚することで、目的意識をはっきり持ち、意欲的に取り組むことができる。
【5年】
・自分の思いや願いを生かして、目的意識をはっきり持たせた具体的なテーマやゴールの設定をするために、体験や調査活動に時間をたくさんかける。
【4年】
・活動カードに今日の目標を必ず書き、何のためにするのかを常に意識できるようにする。

●視点2:全体の流れを事前につかむことで、見通しを持ち、自分で計画を考えながら取り組める。
【5年】
・単元全体の流れ(フェーズ)を図式化して常に掲示しておく。
・グループの調査・制作・プレゼンの計画図を作ることで、見通しを持たせる。
【4年】
・学習の初めに単元の流れが分かるような掲示を使って説明をし、全体の見通しが持てるようにする。

●視点3:自己評価する場面を取り入れることで、自分が成長したいという願いを持ち、進んで学習に取り組むことができる。
【5年】
・各時間の自己評価をカードで行ったり、フェーズ毎に「振り返る」時間を設定 する。
・「成長エントリー」の場面でポートフォリオを活用して自己評価し、成長を自覚 させる。
【4年】
・活動カードの中に自己評価欄を作り、活動後に自己評価することで、気づいたことやできるようになったことを自覚できるようにする。


 今回は、奮戦記というより、学年のプランを紹介するちょっとお堅い内容になってしまいました。
 こうして、みなさんに紹介することで、実践へのモチベーションを高めております。

「プロジェクト学習奮戦記」1         10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22