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    ■「プロジェクト学習奮戦記」(9)   2004.1執筆

◆凝縮ポートフォリオ作りに挑戦中

加茂小5年生「福祉ボランティアを広げようプロジェクト」の活動は、いよいよ凝縮ポートフォリオ作成に入りました。本来ならば、凝縮ポートフォリオ作成は個人でする活動なのですが、時間の都合で、個人ではなく、チームで取り組むことにしました。

学年全体の成果物(福祉ボランティアの紹介本)としてチーム毎の提案をA4紙2枚にまとめるという凝縮ポートフォリオ作りです。

この凝縮ポートフォリオというのは、よくある“調べて発表”という総合学習とは違う、未来教育プロジェクト学習ならではの独自の活動です。
また、学習の最後に活動を振り返って紙1枚にまとめるという活動をすることもよくあるのですが、この凝縮ポートフォリオは、それとも違います。見た目は似ていても、活動のねらいが違うのです。

チームから一人に戻り、自分らしく考えを組み立てる場面です。子どもたちに論理的に考えを組み立てたり、相手を意識した思考表現をする力を身に付けるのがこの凝縮ポートフォリオのねらいです。

ふくらんだ自分のポートフォリオのファイルから大事なことをギュッとまとめて再構築していくこの場面は、実は子どもたちは悩む場面です。すぐにはうまくいきません。何回も下書きを繰り返し、どうしたら論理的で、わかりやすくなるか何回も書き直したりすることになります。じっくり考え、試行錯誤しながらしっかり頭を使うから、「論理的に考えを組み立てる力」や「デザイン力」「推敲する力」が育つのです。


◆具体的な説明

「ポートフォリオ解説書」を元にシートを使って説明していきました。
解説書のサイト http://www.djn.co.jp/mirai/guide/index.htm

参考:未来教育e-ラーニングサイト
http://www.mirai-portfolio.net/sogo/sogo.htm

□テーマ
・「ポートフォリオを見て、思い出して書こう。具体的な方がいいよ。」
・「メンバーの名前やテーマの理由も書くといいね。」

↓(なぜならば)

□根拠・理由
・「見た人が(なるほど!)と思うようにする。」
・「大事なものを選ぶ。たくさんのせない。」
・「並べ方を工夫しよう。→(矢印)を使うといいよ。」
・「のせるのは…文章、写真、図やグラフなど」
・「中身と見た目で勝負!」

↓(だから)

□私たちの提案(結論)
・「ずばり○○しよう!という具体的なものに!」

◆ホームページチームの実際

私が担当しているチームの一つ「ホームページチーム」の凝縮ポートフォリオ作りの実際は以下の通りです。

1.テーマは?
最初は「ホームページでボランティアをする人をふやそう」でしたが、「どんなふうになるといいの?」と話をして「施設に行ってお手伝いをするボランティアの人や一緒に遊んだりする人をふやそう!」という具体的なものになりました。

2.わたしたちの提案は?
自分たちの提案がすぐには浮かびませんでした。ポートフォリオを振り返りながら、「一番伝えたいことは何だろうね。」と一緒に考えて、子どもたちの中から「ずばり!お手伝いはおもしろい。」「何かしてあげなくてもいいからとにかく行く。」「話をする。お菓子を一緒に食べる。」…ボランティアをするのは面倒だなあと思っている人に対して、具体的にどう言ってあげたらいいかを子どもたちの中から引き出していきました。子どもたちの心や頭の中にあるものを自分の言葉で具体化・明確化していくのが教師の役割としてとても大切です。ほったらかしでは明確な提案は生まれません。“伝えたいことは何なのか”をはっきりさせていくには、教師の「対話」というコーチングスキルが有効です。

結果的には、「何かしてあげなくてもいいからとにかく行く。」と「話をする。」の2つを提案の内容に決めました。

3.根拠・理由
いよいよ「根拠・理由」をどう展開していくかです。ここからが難しい…。

でも、一番大事なコツは、根拠・理由を考える前に具体的な提案をずばりこうだ!いうものにしておくことです。結論を具体的でシャープなものにすることで、論理展開を進める道筋が描きやすくなります。

ただ単に「お年寄りさんが喜ぶからボランティアをしよう」という提案より、何かしてあげようといろいろ考えて訪問した子どもたちの体験から出た「何かしてあげなくても話だけでいいから行こう」の方が具体的で、人の心を動かしやすいのです。

今、子どもたちは、凝縮ポートフォリオの内容構成を考えているところです。
・アンケート調査の結果をグラフで入れよう。
・楽しそうな写真を入れよう。
・お年寄りさんの生の声を入れよう。
・どうして話だけでいいのかを説明しなくては…。

根拠・理由の各パーツをカードにして紙の上に置いてレイアウトを考えています。まだ、これからこの活動が続いていきます。

2週間の期間で、間を開けて4日間(計6時間)で凝縮ポートフォリオをしていく予定です。作った下書きを数日後に見直したり、作成途中で人に見てもらってアドバイスしてもらうなども凝縮ポートフォリオ成功のコツでしょう。
 

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■ニュース1!「奇跡のIT活用」の実践がコンクール1次通過
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昨年度の連載「総合とインターネット」で紹介した小学生と高校生の交流・共同授業の実践を「第4回インターネット活用実践コンクール」(文科省主催)に応募したところ、1次審査合格となりました。2月には、最終審査の結果が発表されるそうです。 さてどうなるでしょう? 
http://www.netcon.gr.jp/

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■ニュース2!加茂小が「実践校」として紹介
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富士通さんのFMV活用サイトのパソコン活用「大人のためのパソコン情報室」というコーナーで実践校として紹介されました。
http://azby.fmworld.net/usage/pac/009/pcjouhou_school01.html

※ページの下の方に恥ずかしそうな私の写真が…(^_^;)


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