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■「プロジェクト志向でいこう!」(27)  2007年3月執筆

                    若槻 徹(浜田市立宇野小学校)
                 waka@bs.kkm.ne.jp    


前号の続きです。

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┃NHK番組「日本の、これから」学力 3月8日(土)19:30オンエア          ┃
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http://www.nhk.or.jp/korekara/

◆いよいよ今週末「学力」をテーマとした3時間の生討論番組が放映されます。

NHKのディレクターさんからの個人的な質問に答えた私の見解を紹介します。


◆今の子どもたちに求められている学力とは?それは、どうやって身に付けさ
せたらいいか?


1.これから必要な学力

・高度情報化社会の中では、テレビや新聞におどらされないで、本当に自分に必
要な情報や正しいものを見抜く目が必要です。メディアリテラシーが最も重要だ
と私は考えます。(思考・判断力が必要)

・昔は、机に座って先生の話を聞いて、知識を頭に入れていけばよかったのです
が、時代の流れが速くなり、学校で学んだ知識は、社会に出たらもう古くなって
しまっています。自分で知識をどう得るか、その学び方自体を身に付ける必要が
あります。(知識を覚えるだけでよかった時代ではない)

・また、ケイタイ、ゲーム、インターネット、テレビ…子どもたちを誘惑する魅
力的で楽しいものが溢れている日常生活の中で、自制心を持ちながら、自分をコ
ントロールしていくことも難しくなっています。(学習意欲を削いでしまう環境
あり!)

・少子化やゲーム等の個人中心の遊びなど、人間関係を自分から作る経験が少な
くなったために、仲間との関わることが苦手な子が増えてきています。基本的な
コミュニケーション力を育てることが学校教育の中で必要になってきています。


2.それを身に付けるには・・・

・学校での授業のやり方を見直して、基礎基本として知識等をしっかり身に付け
る部分(IN)とその知識を活用して生活に結びつけて自分で実際にやってみる
(OUT)を取り入れることが大切だと思います。フィンランドで言うテーマ学
習やプロジェクト学習の考え方にあたります。

・子どもたち自身に自分を客観視できる力を育てていく必要があります。学習を
振り返って自己評価する場面を授業の中に取り入れたり、自分の思考の変化や成
長を記録するなどポートフォリオを取り入れるなど教師の指導の工夫が必要です。

・友達と協力した活動したり、共に学び合う場面で、思いを伝えたり、受容した
りする中で、コミュニケーション力を育てていくことが大切です。


◆教師の指導力・技量の向上を訴えているが、今の先生たちの指導力・技量はど
の程度だと思うか? それは子供たちに学力をつけさせるに足るものか?

現場の多くの教師は、まじめで責任感があり、授業に対しても熱心に取り組んで
います。しかし、残念ながら、自分で指導法を工夫し、成長しようと努力してい
る教師はあまり多くありません。10年前、20年前と同じ授業のスタイルを続
けている教師も少なくありません。研究授業(自分の授業をほかの教師に見せて
研究する授業)を1年間に1回もしない教師も多いと思います。

つまり、教師の指導力は、経験だけでは身に付くものではなく、学び続ける意志
がなければ向上しません。

そして、授業のやり方が書いてある「教師用指導書」の通りにしか授業をしない
(しかできない)先生も多いように思います。自分で教材を開発したり、単元
を考えたりする等自分で授業プランをつくれる先生は少ないです。そのため、総
合的な学習の時間をどうすればいいか悩んだり、いいかげんになっていたりしま
す。

したがって、子どもたちに真に必要な学力をつけさせるためには現状では充分で
はないと思います。

教師の指導力の向上が進まないのは、先生たちが忙しすぎるという現状がありま
す。授業にだけ集中できる環境を作り、責任とともにお金を学校に与えれば改善
できると私は考えています。


◆先生自身「学び方を身につけ、自分自身を高める姿勢」の大切さを教員になら
れてから感じたそうだが、どうしたら子供たちにこの姿勢を身につけてもらえる
と思うか?

ずばり、鈴木敏恵先生の提唱されている未来教育の考え方が日本全国に広がって
いけばいいと考えています。(と言ってもわかりにくいですね。)

これまでの教育のスタイルは、教師が子どもに教えるという、子ども側からすれ
ば「与えられた学び」でしたが、これからは、子ども自身が学習していくのを教
師が支援していくスタイル。子ども自身の「意志ある学び」という子ども主体の
教育の方法が必要です。

テーマ・ゴールを明確にした授業。学習のねらいや身に付ける力を子どもが知っ
ている授業。学習した足跡がポートフォリオ残る授業。学習を終えて自分がどれ
だけ成長したか振り返る場のある授業。そんな授業がめざす子どもを育てていけ
ると考えています。


◆先生なら、勉強嫌い、学習意欲がない、将来の目標を持てない子供たちをどう
説得するか?


自己肯定感が低く、認められた経験が少ない子どもに対して、うまくコーチング
できませんが…。

・現実の自分を見つめてごらん。
・今の自分は好きですか?
・自分の嫌いなところがある?
・自分で自分をどう思っているの?

・こうなりたいと思う自分はどんな姿?

・そのためにはどうしたらいい?

子どもたちの内にある成長したいと願う心を引き出し、将来の自分の生き方を考
えてもらいたいと思います。

自分らしく生きるために、自分を高めていくことが大切なことを自分の体験から
話しすかないかもしれません。


(新米教師時代に授業が下手で自信がなくて教師をやめようと思った。

→どうせやめるなら満足のいく授業をしてからにしよう
→いろんな本を読み、人の授業を見た
→まだまだだけど、ほめられるとうれしい
→教え子の声がうれしい
→満足のいく授業が未だできず現在に至る。・・・(^_^;)


「本当に必要な学力とは何か」「何のためにその学力を身につけるのか」が議論
される番組作りを目指しているそうです。週末はNHK総合から目が離せない!




 
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