■プロジェクト志向でいこう!」(19) 2007年6月執筆
◆宿泊研修で感じたこと
先日、近くの小規模の小学校の連合で、宿泊研修に行ってきました。5校の高学年43名で、2泊3日の研修でした。私自身は、事務局として、事前の計画や施設との渉外の仕事を担当していました。実際の子どもたちの指導の面は、各校の担任の先生に任せておけばよかったので、比較的のんびりとした立場にありました。そこで、2泊3日の宿泊研修の様子を携帯電話で撮って、ブログにアップする作業をしていました。
http://blog.goo.ne.jp/unosho/
振り返ってみたら、2泊3日で、42回のアップ。このぐらいになると、“インターネット中継”と言えそうです。この3日間の閲覧数は約700、アクセスIPが約200ぐらいでした。同じ人に何回もアクセスしてもらったと思いますが、子どもたちの様子がわかってよかったと好評でした。
◆子どもの違いは、なぜ?
各校9名〜6名の田舎の小規模の学校の5校の連合チームは、これまで交流の機会は数回ありましたが、ほとんどは知らない子同士。今回は、1回だけ事前の交流会(顔合わせ会)をしただけで、実際の宿泊研修に入ってから、仲間同士が親しくなるといった状況でした。
この研修には、他の団体も参加していました。お互いの交流はありませんでしたが、食事の時間や休憩時間に施設内で出会ったりしました。他の団体はいずれも単独校で、都市部の大規模校も参加していました。
つい、子どもたち同士を比較して見てしまうのは教師の悲しい?性(さが)なのでしょうか。でも、ひいき目に見てしまう面を差し引いても、事前の指導が十分できないうちの連合チームの方が、単独の大きな学校よりも、子どもたちはよく動くし、チームワークがいい。集合時刻に遅れないし、決まりも守るし、あいさつもよくできる。(何でだ?)田舎の素直な子どもたちだから・・・?(それはあると思うけど・・・それだけじゃない。)
◆宿泊研修の3つのシーン
<食事の場面>
いろいろな団体が一緒に広い食堂で食事をしている場面で、大規模校の引率の先生の大きな声が響きました。
「食事係!何をしてる!!きちんと仕事をしろ!!!」
後かたづけ担当の子どもたちの動きが悪かったのを注意するものでしたが、他校の子が食事をしている場で、大声で乱暴な言葉を発したことと、それが若い女性教員だったことが、私には少しショックでした。思わず、うちの引率の先生と目を合わせて、(ああはなりたくない。)という顔をしてしまいました。そして、その方法でしか子どもを動かすことができない教員を寂しく思い大声を浴びせられた子どもたちをかわいそうに思いました。
私たちの団体でも、食事の後かたづけがきちんとできていないグループがありましたが、帰ってしまった子どもたちを呼んできて、「このままでいい?」と言ったら、みんなで片づけをやり直しました。
<肝試し>
私たちの5校連合チームは、引率の先生たちが何と9名。小規模の高学年複式学級の5人の担任は、30代〜40代のベテラン男性教師たち。休憩時間になると、一緒に子どもたちと遊び、お風呂も子どもたちと一緒に入っちゃう先生たちばかり。
夜の肝試しが始まりそうな頃、大規模校も違うコースで肝試し。大規模校のお化け役の先生たちとすれ違いました。若い女性の先生が多かったです。
でも、何か寂しい。幽霊の着物を着ているだけ・・・。研修施設でいろいろな扮装が借りられるのに・・・。
一方、わが連合チームのベテラン男性陣は、私を含め、みんながお面をつけ、扮装し、マネキンを背負って、山の中へ入っていきました。子どもたちを驚かせようと思っているのか、自分で扮装を楽しんでいるかは不明ですが、そにかく一生懸命です。
少し前に始まった大規模校の肝試しを待っている子どもたちが、私たちのお化けの姿を見つけて、はしゃいでくれました。子どもたちに受けていました。それは、残念ながら、大規模校の肝試しには登場しないお化けたち・・・。
<炊飯活動>
この大規模校とは、同じ研修メニューをすることが多かったのですが、炊飯活動も同じ時間帯に違う施設を使って行いました。大規模校は、設備の整った炊飯場で、うちの連合チームは、カマド作りから始める上級者コース。人数の違いはあるものの上級者コースの方が時間がかかりそうです。ところが、早く終わったのは・・・うちの方。
グループの人数が少なく、一人でたくさんの仕事をこなさないといけないうちのチームの教師たちは、あまり手伝いません。最初の説明を施設の人にしてもらっただけで、指示も出さずに、子どもの様子を見守るだけ。困った子がいると時々一緒に仕事をするっていう感じでした。子どもたちのワイワイガヤガヤの声だけが響きます。
一方、大規模校チームは、・・・?
たまたま近くに行った時に聞こえたのは、教員の指示の声。細かくあれこれと教員の声が響いていました。
◆子どもを育てるということ
「子どもの質が違う」「小規模校と大規模校は違う」「指導者の経験年数が違う」「最近の大規模校の高学年は、指導が難しい。」確かにそうだ。でも、それだけでは、この違いは説明できない。
明らかに教師の力量が違う。意識(熱意)が違う。
多くの教師は、宿泊研修で、子どもたちを育てたいと願う。(はずである。)
そのために、事前に目標をもたせ、その価値を自覚させる。細かく指示をするのではなく、自分で考えて行動できるように指導を行い、その場で適切に評価をしながら、成長を自覚させる。それが、子どもを育てるということ。
でも、宿泊研修で、自分の思うように子どもを動かそうとする教員もいる。教員の指示によく動くことをねらいとし、子どもの成長が一番ではなく、宿泊研修自体がうまく成功することを一番に考える教員もいるんだ。
そんなことを感じた2泊3日の研修であった。
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