■「プロジェクト志向でいこう!」(17) 2007年4月執筆
◆「テレビの見方プロジェクト」のその後
平成19年1月19日。うちの学校で、隣の小学校の高学年を招いてのプレゼンテーションが始まりました。総合学習で取り組んできた「テレビの見方プロジェクト」の実際の提案をする場面です。
これまで交流をしてきた相手なので、初めて出会う相手ではないですが、他校の小学生が相手となると、子どもたちは、やや緊張気味です。
自分たちの提案を聞いてもらい、相手の心を動かすのが今回のプレゼンテーションの目的でした。
校内でなく、他校の小学生を相手にするという経験は、子どもたちのモチベーションをかなりアップさせました。「なかなかすごいなあ」「なるほど」と思ってもらいたい!だから一生懸命心を動かすプレゼンをするぞ!相手を意識して、よりわかりやすく、より効果的なアピールの仕方を工夫しようと子どもたちは頑張りました。事前の準備をしっかりして、練習も進めてきていました。
本番の様子はこちらです。
http://www.uno-s.net/news/01/prezen/purezen.htm
今回は、以前紹介した総合学習「テレビの見方プロジェクト」のその後を紹介します。
◆テーマとゴール
○願い
"テレビに流されず、テレビとじょうずに付き合おう!"
○ゴール
「小学生のための心と体によいテレビの見方ガイドブック」を作成し広げる!
○身につく力
(1)情報を見きわめる力
(2)いろいろな角度から考え,判断できる力
(3)テレビに流されないで,自分の考えで行動しようとする態度
○ねらい・コンセプト
※小規模校で,情報量も限定された環境中で,純粋な子どもたちにとって,テレビの
影響は大きい。だからこそ,情報に流されない強さを身に付けるこの学習は意義深い。
※複式学級を含む異学年の全校児童で取り組むことで、発達段階の違う子どもたち
が,一緒にいろいろな見方を話し合うことのできる場になる。
(1)情報を見きわめる力
21世紀は氾濫する情報と変化の時代。情報に流されることな
く、情報のウソとホントを見きわめ力を一人ひとりがもつこと、自分の考えをもち実践
できる力が必要となる。「意志ある学び」プロジェクト学習で進めることでこの力を身
につける。
(2)多角的な見方や判断力
異学年の子どもたちやいろいろな人から情報を得ることで,
一つの情報をうのみにしないで、いろいろな情報を集め、多様な見方をすることの大
切さを学んだり、判断する力が育っていく。子どもたちにとって身近で大好きなテレビ
をプロジェクト学習の題材にすることで、テレビのよさと同時にテレビに流されること
のこわさを考えさせていくことができる。
(3)自分の生活を振り返り、テレビとうまく付き合っていこうとする
与えられる情報に流されるのではなく、自分の意志で行動できる力を育てていきたい。自分自身の生活を振り返り、テレビに流されないで行動し、テレビをうまく活用していこうとする態度を育てることをねらいとする。
◆活動の流れ
(1)準備
・1週間のTV観察やTV視聴調べを行い、地元のケーブルテレビ局を見学して、番組の作り手側の様子を知る活動を行いました。自分たちの生活を振り返って、テレビの問題についていかに意識させていくか取り組みました。
・テレビを長時間見ている人がいること、意識してCMを見てみると、情報に流されてしまっている自分たちの実態に気づいていきました。
(2)チーム分け
・子どもたちの考えで以下のようなチームが6つできました。
「ドラマ」「バラエティー」「アニメ」
「健康なTVの見方」「目によいTVの見方」
「CM」
(3)情報収集
・身の回りの自分たちの実情を調べようと、アンケートやインタビューを実施しました。
・インターネットや図書室(本)で調べました。
・保健の先生や他の大人の人に聞いて調べました。
(4)制作
「テレビの見方ガイドブック」を作るために、チームで取り組みました。ガイドブックを見た小学生の心をいかにして動かすか、そのためにそんな具体的な提案を資料をもとに説明していけばよいか、子どもたちにじっくり考えさせました。
・調べたことを写しただけではダメ!
・資料を基に自分たちの「こうしたらよい!」という考えを作って、それを伝えよう!
・見る人のことをイメージしながら、いかに分かりやすく提案するか考えよう!
子どもたちに語りながら、妥協をせずに内容のレベルアップを図っていきました。
(5)発表(プレゼンテーション)
プレゼンの相手は、近くの小学校の児童。交流をしてきている他校の小学生の心をどう動かせばよいのか。子どもたちにとって、緊張しつつも、やる気をもてる場を設定しました。
本番をイメージし、どんなスキルがいるかを自分で考えよう。自分たちの伝えたいものは何?プレゼンのコツについて考える授業を鈴木敏恵先生に指導してもらって進めました。
http://www.uno-s.net/news/01/suzuki/jugyou.htm
(6)凝縮ポートフォリオ
・A4で2枚にまとめました。
(7)成長エントリー
自分自身が成長したことをポートフォリオから見つけていきました。友達からの評価ももらいました。
完成した「テレビの見方ガイドブック」は、市内の全小学校に送りました。
◆活動の成果
成果物として社会に役立つものを作るのが、未来教育プロジェクト学習の一つの手法です。そうすることで、子どもたちの意欲を高め、活動の価値を高め、達成感を生み出すことができると思います。
今回の他校の児童の前でのプレゼンや他校への成果物の配布というのは、子どもたちのモチベーションアップにつながりました。子どもたちは、自分たちの活動を認めてもらいたい、提案をよく思われたいと願い、意欲的なプレゼンや提案集作成につながっていきました。
そして、実は、うちの学校の総合学習の取り組みのPRにもなりました。“宇野小は総合もがんばっている”としっかりアピールできる機会になりました。未来教育プロジェクト学習をうちでもやってみたい!そういう学校を周りから増やしていくことを密かに企んでいます。
中高MMの復刊おめでとうございます。昨年度は、教頭担任の奮戦ぶり等をこのMMで紹介させてもらいました。
新年度は…やっぱり(?)引き続き教頭担任の毎日が待っています(>_<)
私自身の忙しい環境は変わりませんが、その時々の思いをこのMMでまた紹介させていただきたいと思います。梶原編集長および読者の皆様、今後ともよろしくお願いします。
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