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■「プロジェクト志向でいこう!」(36)  2009年1月執筆

                   若槻 徹(島根県)
                 waka@bs.kkm.ne.jp 

◆“橋下ショック”の影響   

昨年12月に橋下大阪府知事が表明した「ケータイ禁止令」の波紋は大きかったです。
教育現場は歓迎。しかし、これだけケータイが普及した中での戸惑いも・・・。

その後、「教育再生懇」でも“持ち込み禁止”を打ち出しました。慌てた(?)文科省は、全国の小・中・高の全部の学校の「持ち込みのルール」の状況の調査に乗り出しました。

おそらく2月中には全国の結果が公表されて、小・中の「持ち込み禁止」、高校の「使用禁止」の全国統一ルールが示されるのでしょうか・・・?。

しかし、子どもたちからケータイを遠ざけるだけで、ネットトラブルの問題は解決しないのに・・。心ある人は分かっていますよね。「くさいものにフタ」では・・・。


◆特集記事の執筆

そんな中で、私が、保護者向けの広報誌(新聞)の中でケータイ問題の啓発の特集記事を執筆することになりました。県内の小・中・高の全PTAへの配布です。

まだ、“生”原稿の段階です。このまま印刷されるとは思いませんが、・・・紹介しちゃいます。

※対象:保護者向け(小・中・高校)

※コンセプト:ありふれたものでは×。
       保護者に読んでもらい、(そうだなあ)と立ち止まって考えてもらう!

※スタンス:やっぱり直球でど真ん中勝負!!


以下原稿(の一部)
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『“怪物”ケータイとどう付き合う?』

子どもたちの回りには、携帯電話に関わる犯罪やトラブルが多発し、ケータイは、今、大きな教育問題としてクローズアップされています。子どものケータイについては、保護者も学校も悩みの種となっていますね。今回は、扱いの難しい“怪物”ケータイの危険性と保護者として具体的にどう対応していけばよいか考えてみたいと思います。
 ぜひ、お読みいただいて、ご家庭で話し合う機会にしてみてください。

1.ケータイは電話ではない!?〜親子のギャップは大きい!

保護者は、携帯電話を子どもとの連絡用・防犯用の電話機として考えている人が多いようですが、子どもの方は、 メール、インターネット、カメラ、テレビ等何でもできる便利な情報端末“ケータイ”として考えています。携帯電話を買い与えている保護者と実際に使っている子どもたちの間には大きなギャップがあるようです。

(以下略:県内のアンケート調査結果から)


2.知っていましたか?〜島根県でもトラブル多発!

(以下略:県内の実態から)


3.PTAが「ケータイ持ち込み禁止」

(以下略:県内の実践例の紹介)


4.ケータイ教室の講師の方にインタビュー

(以下略:県内の講師の方のインタビュー記事)


5.ケータイ問題・・・今こそ保護者の出番です! (保護者へのアドバイス)

○ケータイ問題への対応は手遅れ?

親や教師を悩ませている携帯電話を子どもたちが持つようになってまだ数年しか経っていません。そして、短期間に携帯電話をめぐり様々な問題が生じてきていますが、大人たちの対応は常に遅れてしまっています。

今、「子どもたちには携帯電話を持たせないようにしよう」という声がある一方で、「既に普及してしまっているのに困る」という声もあります。

学校では、ケータイとのつきあい方を含む情報モラル教育の充実が求められ、保護者と協力して「学校に携帯電話を持ち込まない、学校で使わない」取り組みの徹底が必要とされています。しかしながら“ケータイ禁止令”だけでは本当の問題の解決にはならないのではないでしょうか。

○子どもにケータイは必要か?

子どもから「周りの子はみんな持っている携帯電話を自分にも買ってほしい。」「中学校を卒業したらケータイ買って」と言われたら、保護者としてどうしますか?
防犯や連絡用にあったら便利だからという理由だけで、安易に買い与えていませんか?

(子どもに携帯電話が必要がどうか誰かが決めてくれればいいのに・・・)対応に苦慮されている保護者の方の本音が聞こえてきそうです。

しかし、子どものケータイが必要かどうか決めるは、やはり保護者の責任ではないでしょうか。「ケータイを子どもに何歳から持たせたらよいか。」の問いに決まった答えはありません。持つ目的や、生活している環境や登下校の状況、子ども自身の年齢や自己管理能力等様々な状況によって異なります。ケータイをもつことの「安心感」や感じる「便利さ」だけでなく、ケータイをもつことの「危険性」についても家庭でしっかり考えていくことが重要だと言われています。

○ケータイは車の運転と同じ?

小・中・高校生の子どもに自動車を自由に運転させる親はいませんね。適切な年齢になり、運転のスキルを身に付け、適切な判断能力を持ち、免許を取得してやっと車の運転ができるようになります。自分で好きな場所に行ける「便利さ」を感じると共に交通事故に遭う「危険性」も、自分の責任で背負いながら、輸送手段の道具として付き合っていくことになります。

一方、ケータイは、使うのに資格も免許もいりません。ネットに接続でき、いつでも好きな情報を得たり、コミュニケーションをとることができる「便利さ」を感じながら、ネットトラブルの被害者や加害者になってしまう「危険性」も常にあります。知識や判断力が未熟なままで使い始めている子どもたち。危うい情報もたくさんあふれ、悪意のある大人もいるのに、ケータイという車で、その危険性に全然気づかずに猛スピードで走り回っている。現在の子どもたちの姿がそう映って見えます。

そして、ケータイ問題の入口は小学生のテレビやゲームだとも言われています。メディアとの接触が多すぎて、生活のリズムがくずれたり、ネットに接続できるゲーム機によるトラブルも問題となっています。

○ケータイを話題にできる親子関係を!

学校の先生には、利用形態や利用時間等実際に子どもたちがケータイをどのように使っているかを確認することはできません。子どもの携帯電話の利用については、その責任があるのはやはり保護者ではないでしょうか。

もし、子どもがケータイがほしいと言ってきたらどうしたらよいでしょうか。まず、大切なのは、なぜ欲しいのか理由をしっかり聞くことです。携帯電話の使用料は年間数万円もかかります。ケータイがあればすぐに連絡がとれて便利でしょうが、本当に持っていたら安全なのか、持たせることの親としての不安も知らせ、お子さんとよく話し合うことが重要ではないでしょうか。

事前に、実際にどんなことができるのか保護者のケータイで体験してみたり、ネット上の体験サイトを一緒に見てみるのもよいでしょう。

もし、既にお子さんがケータイを持っていて、日頃の親子の会話が少ないのでしたら、保護者の方から、悪いことをしていないか詮索するのではなく、ケータイについて話題にして話しかけてみてはいかがでしょうか。

ケータイの扱い方は保護者の世代よりも子どもたちの方がきっと上手でしょう。でも、ケータイについてどう使うかを教えるのは大人の責任です。学校だけでなく保護者にもにもあります。ケータイについて親子で一緒に学んでいこうとする保護者の姿勢が今、求められています。今こそ保護者の出番です!


┏━━━(特集のまとめ)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓

ケータイの問題は、「ケータイを持たない」「学校に持ち込まない」だけでは解決できません。現在の子どもたちを取り巻くケータイに関わる環境は、無防備で危険な状態です。しかし、これからの情報社会を生きていく子どもたちにとって、ケータイの便利さと危険性がきちんとわかり、うまく付き合っていける力をつけていくことが必要です。
 だからこそ、子どものケータイに関心をもち、一緒にケータイについて使い方を学び、一方的に押しつけるのではなく、親子で話し合って家庭のルールを作るなど、子どもたちに責任を持たせていくことが今、家庭にも求められています。

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(原稿終わり)


実際に執筆しながら、推敲を繰り返す日々がずっと続いています。限られた“公的な”紙面という制約の中で・・・自分が試されています。

発行まで後1か月。苦難の日々は続く・・・。

 
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