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■「プロジェクト志向でいこう!」(35) 2008年12月執筆 若槻 徹(島根県) waka@bs.kkm.ne.jp ◆研修講座の講師を 先日、県の教育センター主催の生徒指導関係の研修講座の講師をさせてもらう経験をしました。「積極的な生徒指導」と「情報モラルと生徒指導」の2つの内容を中学校と高等学校の先生方35人に60分で話すというものでした。 実は、私、今年で教員生活28年目ですが、27年間ずっと小学校の教員をしていました。(今でも心はそのつもりですが、今年から教育委員会勤務・・・)中学校や高校の経験はありません。それなのに、中・高等学校の先生たち向けに話をするんです・・・。 この状況を、初めはプレッシャーに感じていました。実践のない人間の話が通じるのか? そう考えて悩んでいたのですが、そのうち考えが変わっていきました。 世の中同じ立場でないと話が通じないかというとそうではない。私自身、小学校27年間にはいろいろな経験をしてきたし、中学・高校の先生の知り合いもいる。自分だから伝えられることを心を込めて話せばいいんだ。そう思えるようになってきました。(そういえば、このMMは「中高MM」。購読者は中学校・高校の先生方が多いんですよね。) そして、講義のための戦略を考えていきました。 連休明けの3日間の研修講座の1日目。しかもトップバッター。緊張気味の空気の中で、隣の人ともまだうち解けていない会場の雰囲気・・・。 いろいろな状況を考えながら、講義が終わったらどう思ってほしいか具体的にイメージしていく。そうなるためには、ねらいは?内容をどう絞るか?60分の時間配分をどうするとよいか?思いを巡らせ、作戦を練り上げていく。 そう、授業を組み立てていくときのように。私にとっては、久々の“研究授業”となっていました。 ◆講義の内容(分かりにくいかもしれませんが、メモを紹介します。) 1.講義の流れの確認 2.少し長い自己紹介(未来教育プロジェクト学習や情報教育の実践の紹介) 3.今の職場「県の生徒指導推進室」の紹介(写真で) 4.積極的な生徒指導とは? (1)お隣で相談タイム (2)発表 (3)「生徒指導」の説明(図式化して) ・学校の教育目標を達成するための重要な機能の一つ ・「一人一人の生徒の個性の伸長を図りながら、同時に社会的な資質や能力・態度を育成し、さらに将来において社会的に自己実現が出来るような資質・態度を形成していくための指導・援助であり、個々の生徒の自己指導能力の育成を目指すものである。」(文部省「生徒指導資料集第20集」) (4)生徒指導の方向は? 「いじめ・問題行動・不登校への対応」だけでなく「子どもの内面に目を向ける」「心身の発達・成長を援助する」という考え方が今後必要です。「規則・規律の指導」だけでなく「生き方の援助」が大切です。 (5)生徒指導の充実を 「教師と生徒の信頼関係及び生徒相互の好ましい人間関係を育てるとともに、生徒理解を深め、生徒が自主的に判断、行動し積極的に自己を生かしていくことができるよう、生徒指導の充実を図ること。」(中学校(高等学校)学習指導要領総則 ) (6)これからの生徒指導は? 【これまでの生徒指導】 ・問題行動が起こってからの対応(後追いの指導)が中心→問題行動が繰り返される ・学校体制としてではなく、一部教員のみが対応→中心となる教員の異動により荒れが繰り返される ・個への指導が重視され、集団への指導が不十分。 【これからの生徒指導】 ・学校生活が有意義で充実したものになるように指導・支援 ※未然防止だけでなく、より積極的に ・組織的な学校体制で対応 ※一人では対応できない時代 ・すべての生徒が対象 ※学級、学校全体へも 【これからの生徒指導】=積極的な生徒指導 (7)生徒指導の3機能 ○自己存在感・・・がんばりを認め、勇気づける ○自己決定・・・生徒会とタイアップ ○共感的人間関係・・・教師も生徒と一緒に取り組む (8)「積極的な生徒指導」を進めていくには・・ ★生徒との関わり方(生徒理解)が大切 ・よさを見つける ・聴くことが大切 ★専門的な知識やスキルを身に付ける ・教育相談 ・思春期の理解 ・今日的な課題 ★問題行動への対応ももちろん重要! (9)問題行動が起こったら・・・ ● ピンチはチャンス! ● 親身になって! ● 保護者と信頼関係! ● チームで対応! 指導上の心得 ・問題行動だけではなく、その子がなぜそのような行動を起こしたのか考える。 ・暴力という行為を叱っても、暴力を引き起こした感情や動機は否定したり叱 ったりしない。 ・叱ることは必要だが、叱ることですべてが解決するわけではない。 ・罪を憎んで人を憎まず。 (10)「生徒指導」の今日的課題 「情報モラル」「特別支援教育」「保護者対応」 5.「情報モラル」と生徒指導について ここでは詳しく紹介しませんが、以前作成したパワーポイントの一部を使い、新 しい情報も盛り込んだプレゼンを行いました。 以前のものはこちらに掲載してあります。 http://www.pref.shimane.lg.jp/gimukyoiku/keitai.html 講義の中で「ちょっと待って、ケータイ」という動画(DVD)を紹介しました。エルネットで上記のタイトルを検索するとWeb上で見ることができます。 http://www.elnet.go.jp/ 6.おわりに 感想やコメントを記入してもらう付箋を資料に付けておきました。少し早めに講義を終わって、感想をぜひ聞かせてほしいと頼みました。「書いていただけた人には、これを差し上げます。お一人1個ずつお取り下さい。」と言って、鬼太郎の梨キャラメルを見せました。お陰で(?)受講生35名中、30名からコメントをもらいました。 ◆受講者の感想(一部) ・今日の講義ありがとうございました。実際にいろいろな場面を(情報モラル)見せていただくことで、理解しやすかったです。あのビデオもよくできていたので、生徒の心にもひびくと思いました。印象的だったのは、まわりが悪質なサイトから遠ざけるということに向かっている中で、生徒の“心を強くする”と言われたことです。周囲に流されない自分を大切にする心の持ち主になるよう指導していこうと思いました。 ・生徒指導部ではないのに今日ここに来てよかったのかなと思っていました。しかし、若槻先生の講義を聴いて、学級担任としてできることがたくさんあることに気がつきました。情報モラルの指導は確か「できない」と答えたと思います。(文科省調査の話)が、未然に防ぐ指導からやっていこうと思います。ありがとうございました。 ・とてもわかりやすい講義でした。積極的な生徒指導、どうしたらいいのか?これからの3日間しっかり勉強して帰ろうという気持ちになりました。情報モラルについては、つい最近うかがったばかりでしたが、また、ふ〜ん、う?んと考えさせられました。生徒が被害に遭わないように、日々このことについてふれていかなければいけませんね。 ・今日はありがとうございました。生徒指導について、携帯電話等に係るトラブルの予防と対応についての基本的なお話を聴くことができました。これは私にとって確認のできるホッとする時間にもなりました。講習は無駄ではないと思い、感謝しています。ありがとうございました。 ・とてもわかりやすい講義でした。ありがとうございました。中学校ですが、現場でもネットトラブル、メールでのいじめが起きています。家庭での使用に関するルールができておらず、年々低年齢化しています。小中含めて、校区連携して早く対応をしなければいけないと思います。特別支援の問題、不登校など幼、小、中の連携の重要性を感じています。生徒一人一人の気持ちを聴くことの大切さを日々感じています。今、大人が子どもの気持ち 聴いてないんです。子ども達は寂しい思いをしています。 ・とてもわかりやすく、豊富な内容なのにあっという間に時間が過ぎました。生徒指導の考え方については特に共感して、「これでいいんだ!」と自信につながりました。ネット問題についてもっと学習し、スキルを身に付けねばと思いました。 ・わかりやすく伝えようと工夫して下さったことに感謝します。 ・積極的な生徒指導を進めていくために生徒理解が大切とは感じていましたが、専門的な知識やスキルを身に付けていくことの大切さも改めて感じました。生徒指導の今日的課題にも目を向け、組織的な学校体制で対応していくことができるよう努めていきたいと思いました。ありがとうございました。 ※ありがたいことにほとんどが肯定的な内容でした。以下そうでなさそうなものを4つ。 ・積極的な生徒指導についてもう少し詳しく話をしてほしかった。情報モラルの不足を痛感した。 ・出会い系サイトの問題、怖さだけを教えるのではなく、生徒の心を強くし、自己決定できるような情報モラルの指導。基本は生徒指導と同じなのでしょうが、どんな方法があるかもう少し聴きたかったです。 ・インターネット活用実践での実践は以前から知っていたので、お顔を拝見できてうれしく思いました。 ・DVD等を利用できる環境を整備してほしい。(講義の中でDVDを見てもらったから?) ◆コメントをいただいて・・・ コメント記入は、私自身のための講義の評価とするためだけでなく、受講者の方たち自身に今の思いやこれからの決意を記してもらうことで、意識付けを図ることをねらっていましたが・・・。 いただいたコメントは本当にうれしいです!ありがたいなあと思います。私を励ましてくれます。これからも私のポートフォリオの中の大切な宝物となりました。 |
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