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■「プロジェクト志向でいこう!」(7) 2005.11月執筆

◆ある授業研究会の指導講師に

最近、ある授業研究会での指導講師をする役目が回ってきました。「回ってきた」という表現は適切かどうかわかませんが、指導する方をいろいろ探したけれど、なかなか適任の方がいらっしゃらなくて、ついにその役が私のところにやってきたというのが本当の経緯です。
本来ならば、大学の先生とか教育委員会の指導主事の先生とかがその役目を果たすのでしょうが、なかなか適任者が見つからなかったそうです。 

実は、その研究会は、情報教育に関連するものでした。

言うなれば「指導主事※」の役目を私がすることになったのです。

※指導主事
 学校の営む教育活動自体の適正・活発な進行を促進するため、校長及び教員に助言と指導を与えることを職務として教育委員会事務局に置かれる職。教育課程、学習指導、生徒指導、教材、学校の組織編制その他学校教育の専門的事項の指導に関する職務を行う。

実は、こういう役目は私自身得意ではありません(^_^;)

いろいろな学校の校内研究会で「情報教育」や「総合学習」について私の実践を紹介したりすることは、これまでに何回かあります。研究会での実践発表(研究発表)というのも経験はあります。(少し控えめな言い方をしましたが、他の先生よりはその機会は多いです…。)

しかしながら、“人の授業を見てその評価をする”という授業研究会の指導講師という役の経験はそう多くはありません。今回で2回目です。情報教育に関しては初めてでした。

「授業のいいところを見つけてあげよう!」「授業者にもっとこうするとよかったという点を言ってあげよう」そう思って、言葉を選びながら話すのは実にエネルギーを使います。どう言えばその人はやる気を失わないでこちらの意図をわかってくれるのだろう…?そんなことを思います。

・「評価」とは、その人のよさを見つけること。
・「評価」とは、もっとこうしたらよい点を明確にし、向上意欲を高めるもの。
・「評価」とは、励ましのエネルギー。

よく知った人に個人的に評価することはそう難しくはありませんが、公的な場でコメントをするには慎重さや勇気が私には必要です。


◆研究主任の先生へのお手紙

事前に指導案を持って来られたので、研究主任と授業者の二人の先生とお話をする機会がありました。

その後、研究主任の先生と授業者の先生宛に以下のようなお手紙を送りました。
(★の部分が私の直接の思いなのですが…)

--------------(以下その引用)---------------------------------------------

先日は、わざわざ学校までおいでくださりありがとうございました。貴校の研究について、資料等をじっくり拝見できないままのお話でしたので、参考になるアドバイスができたか少し不安になりましたので、資料を読ませていただいて気づいた点を記してみます。
(★資料の事前送付をしてほしかったのですが…)

1.研究の進め方について
・「めざす子ども像」を具体的にイメージしながら共有化を図ったり、研究成果に実態調査(児童意識調査)をきちんと位置づけていらっしゃる研究計画を“さすが!”と感じました。
・「学年の目標」や「そのための手だて」も具体化してあるのもよいと思います。
・“教科のメディア活用”という部分では現時点では適切だと思うのですが、今後の研究大会に向けての見通しを考えると「情報教育」や「IT活用」というさらにより広い実践研究が必要ではないかと私は思います。」
(★これからは「教科でのIT活用」だけでは不十分ですよ。)

2.今年度の研究構想の中で…
すでに1年次の取り組みとして「情報教育・コンピュータリテラシーの系統化を図ること」をあげていらっしゃるように、これは重要なことです。単にPCの操作だけに限って考えても、段階的な指導が必要で時間もかかります。2年後の授業公開を意識すれば、早めに取りかかる必要を感じています。ネット上に先進校のものが載っていますので、情報教育担当の先生と協力して早く作成し、子どもたちへの指導を開始されることをお勧めします。(既になさっているかもしれませんが…)
(★まず早くスキル面での指導をしないと間に合いませんよ。)

3.情報教育について
既にお話をしたり、資料を差し上げたりしましたが、今の「教育の情報化」について端的な言い方をすれば次のようになります。
文科省が進めているのは…
(1)授業での教師のIT活用
 「学力向上のために必要」という意識をもち、パソコンをいろいろな場面で使う!
(2)「情報教育」
 パソコンの操作も必要だけど、単なるスキルの習得だけではダメ!目標としての情報活用能力を育てなさい!(と言っています。) 
 ○「情報活用の実践力」
 ・パソコンやインターネットなどを道具として考えながら使い、情報の収集・選択・表現する力をつける(情報活用能力の中心)
 ○「情報の科学的な理解」
 ・インチキな情報や怪しい情報もあることがわかる。
 ○「情報社会に参画する態度」
 ・情報モラルや著作権などの知識や態度

というわけで、校内の先生たちが進んでIT(パソコン)を使うように研修をしたり、使いやすい環境を作ったりしていく必要があると考えます。情報教育担当の先生との連携が大切ですね。
(★研究を進めていくには、まず校内の先生たちの意識改革や研修が必要ですよ。)

--------------(以下 略)---------------------------------------------


今後の見通しがまだはっきりしていないようだったので、これからの校内研究の方向性についてお話をしたつもりでした。うまく相手に思いを伝えるというのは難しい。

この学校の校内研究は…コミュニケーション能力の育成

う〜ん。しばらく(これから数年間)研究面でおつきあいするようになりそうです。


◆実際の授業は…?
 
実際の授業は、その学校で一番若い先生の学級で、ニュース番組を作るという国語の授業でした。

その授業については、次回に紹介します。



 
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