「総合とインターネット」                    10  11  12 


  ■「総合とインターネット」(12)  2003.2執筆

前号の続きです。「総合」の行く末は・・?
「キソキホン」重視のお母さん、「生きる力」のお父さんの間で揺れ動く「総合」ちゃんのその後の姿を描いてみよう。

◆「総合」はなくなる!?
 両親(文○省)は、自由にやりなさい!と言っていた放任主義を反省し、総合ちゃんの育て方についても(ああしろ、こうしろ)と言い出してきた。マニュアルは作らないと言っていたのに「じっせんじれいしゅう」というのを作ることになった。この本は、原稿を集めてから1年半もかかってやっと日の目を見ることになった。「自由にやっていいですよ。」と言っていた頃の全国の「せんしんこう」の実践の中には、「総合」がただの体験や遊びになったり、特活みたいになってしまって、全国でまねされちゃうと困るものがあって、これを直すのに時間がかかったとか・・・。
 しかし、せっかくつくったこの「じっせんじれいしゅう」。先生達の関心はほとんどない。今、先生達や世間の関心は「学力」という文字。「キソキホン」ちゃんが大事にされる。
「総合」するより、100マス計算をしよう!子どもをどんどん鍛えよう!という声が聞こえてきた。「総合」ちゃんは、もうすぐなくなるという声も・・。

(数年が経過・・・)

◆100マス計算と朝読書ブームが去って・・・
 「学力向上」の大合唱の中で、全国に展開された100マス計算と朝読書ブーム。やがて、全国の中では、これだけでいいのか?って考える学校も出てくるようになった。「キソキホン」だけを大事にして、一生懸命昔の“詰め込み教育”を復活させる学校だけでなく、「総合」ちゃんもきちんとやって、子どもたちが主体的に考える力もつけようとする学校も出てきたのである。
 そして、本当に子どもたちに力を付けるのはどうすればいいかってみんなが考えるようになった。大学入試もAO入試が当たり前になってきて、受験勉強のために「教えられ、鍛えられた」だけの子どもたちより、「自分の意志で考える力を持った」子どもたちが主役の時代になってきた。

◆「総合」ちゃんのダイエット!
 なくなるかも?と心配された「総合」ちゃんは・・・なくならなかった。でも、あれもこれもと詰め込まれた「総合」ちゃんは、ダイエットして、スリムになっていた。英語活動と情報は教科になって、そぎ落とされ、「総合」ちゃんは、実践を通して考える力をつける時間へと変身していた。子どもたちが自ら学ぶ力を育てる、目に見えにくい学力を育てる重要な学習として「キソキホン」と同じように大切にされようになった。

◆まとめは・・・「バランスが大事!」
 「キソキホン」も「総合」もどちらも大事。子どもたちには、鍛える面も必要だし、育てる面も大事。目に見える学力も目に見えにくい学力も両方が大事。それに気づくのにはもう少し、今の日本には時間が必要らしい。

★「総合」はこうあるべき!
 子ども自身の主体的な学びを育てていく、将来生き残っていく「総合」はどういうものだろうか。今、それに最も近いものは、『意志ある学び』で、子ども自身が成長していくような「総合」の姿を提唱している、このMLでもお馴染みの鈴木敏恵氏の提唱する未来教育プロジェクト学習である。
 ポートフォリオ評価を活かし子ども自身が考える力を付けていく学習が、今、全国に広がりつつある。「ポートフォリオシート」という教材が生まれ、解説書が生まれ、動画で教師が学習したり、授業に活用できるe-ラーニングサイトも生まれた。プロジェクト学習を進めるための環境が整ったのである。だれでも、どこでも“未来教育プロジェクト学習”が始められる時代になってきた。

                             (おわり)
******★お知らせ★****************************************************
■未来教育e-ラーニングサイト  http://www.mirai-portfolio.net/
 このページの作成を私が担当しています。みなさんの評価で成長していくサイトです。ご覧になっての感想をお待ちしています。

■11月の原稿(9)で紹介した「成長するHPプロジェクト」はおかげさまで次の賞もいただきました。
第3回学研スクール・エコネット大賞 グループ部門 最優秀賞
http://kids.gakken.co.jp/ 
ありがとうございました。

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