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  ■「総合とインターネット」(5)  2002.6執筆

◆奇跡の出産◆
 前号で紹介した岡山の高松農業高校と島根の加茂小学校とのTV会議のその後を紹介します。
●出産の様子を参観日に見た保護者の感想
 出産に到るまでの担当の先生、生徒さんのご苦労は多大なものがあったのですね。初めて出産の様子を見て感激したのと、元気な声で「モー」と鳴き声を上げたときはとてもうれしかったそうです。動物が好きな○○にとって、感激と驚きの一瞬であったようです。なかなか経験できないことなので、とても貴重なことであったと思います。命のの大切さを感じてほしいと思います。

 出産が日曜参観日の授業開始5分前に行われ、それを子どもたちや保護者が見ることができたのは奇跡だったのかもしれません。TV会議を通して島根から見つめる子どもたちの前で、仮死状態で産まれてきた子牛への必死の介護。そして息を吹き返した子牛の鳴き声。助かってほしいと願う気持ちが岡山に注がれていました。

◆まだ奇跡は続く◆
 この牛の出産に関わるドラマはまだ続きがありました。
出産後、母牛(ビバリー号)が病気になり、手術をするという事態を迎えてしまいました。通常ならば、病気になって回復の見込みがなければ、高い手術代をかけて治療することは農業高校では難しいそうです。高校の方でどう処理するか検討されたそうです。そして、高校生さんや関係の先生方が働きかけ、手術が実現しました。加茂小の子どもたちからの応援メッセージもビバリーの命を救うのに役立ったそうです。

●母牛が病気になって(小学生の応援メッセージから)
・今日牛さんのお母さんが急にカルシウム不足になりました。3リットルの点滴をしました。子牛はお母さん牛を心配しています。なんかかわいそうです。何か牛のためにできることがあればわたしにやらせてください。牛の命が助かるならやらせてください。お願いします。

●手術後(高農の高校生からのメッセージ)
今では『ビバリー早く元気になって!!』『ビバリーを何とかして助けてあげたい。』というみんなの気持ちがビバリーに伝わったのか少しずつだけどエサも食べるようになりました。顔色もだいぶ良くなりました。(^o^)早く走れるくらい元気になってほしいなぁ〜と思います。みなさんからのメールがビバリーや私たちを元気づけさせてくれました。☆本当にありがとうございました☆(*^_^*)

母牛の手術の様子は、TV会議の回線の状態がよくなくてリアルタイムで見ることができなかったため、後日ビデオをTV会議で流してもらいました。

●手術のビデオを見た小学生の感想
・母親の手術は成功。でもメスみたいなものでスーと切られて、手をぐさっと入れられて牛は少しあばれた。すごくいたそうで、血がどくどく流れ出ていた。人間の手術よりお金がかかっているって。
・こないだ,牛の出産のビデオを見させてもらいました。見てみて牛の出産の大変さがよーく分かりました。人間の出産も大変だけど、牛も人間と同じくらいがんばっている事が分かりました。ビバリーちゃんも相当がんばったことだとおもいます。きっと,職員の皆さんや学校の生徒の皆さん、ビバリーちゃんががんばったから、子牛がうまれたんだとおもいます。

●高校生からの返事
ビデオを見て牛の出産が人間の出産と同じくらい大変なことが分かってもらえてうれしいです。牛の出産を見るのは初めてだったのかな?牛だけじゃなくどの動物の出産だってこの世に新しい命が生まれる≠ニいうことはすごく大変なことなんだよ。ビバリーのときだってそうだったでしょ!?それから、ビバリーの出産は私たちや先生だけが頑張ったからじゃないんだよ。加茂小学校のみんなが応援してくれたからでもあるんだよ。本当にありがとう(^o^)心からお礼を言います。

◆心をつなぐ奇跡のIT活用◆
 まだ、岡山の高校生と島根の小学生のTV会議は続いています。加茂小では、毎日、牛の様子を一日中放映しています。学校の中の風景の一部になっています。

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